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第III編 実施内容
3.4 SWF統合プロファイルにおけるOrder Filler-Acquisition Modality間のJJ1017コードを用いた連携について

3.4.1 背景

放射線領域におけるIHE-JのSWF統合プロファイルでは、HIS, RIS, PACS −モダリティ間 予約, 会計, 照射録情報連携 指針バージョン3.0(以下、JJ1017 バージョン3.0という。)を用いての依頼情報連携が推奨されている。

当センターのシステムでは、Order Placer(HIS)-Order Filler(RIS)-Acquisition Modality間のDICOM-MWM連携において、JJ1017 バージョン3.0を利用可能な環境が整っている。

しかし、現在直接JJ1017コードを理解可能なAcquisition Modalityは存在しておらず、DICOM-MWMによる情報連携を実現しているシステムにおいても、

1) Gatewayを介してJJ1017 バージョン3.0をAcquisition Modalityが理解可能なコードに変換する。
2) 依頼内容そのものについては連携を行わず患者属性の連携にとどめる。

の、どちらかで運用されているのが実情である。

そもそも最大の問題点は、臨床稼動可能な枠組みで発売されている製品として、JJ1017 バージョン3.0を理解するAcquisition Modalityが無いことである。これでは、情報システム側の準備を整えても、理想的な連携は実現できない。

3.4.2 実施内容

本事業では、Acquisition Modality自体に直接JJ1017コードを理解するための変換テーブルを組み込み、Order Filler→Acquisition Modality間における検査指示内容の連携を、JJ1017コードのみで実現する事が目的であった。
今回の実施した技術的内容としては、以下の通りである。
1) Order Filler側で、JJ1017 バージョン3.0コードのJJ1017-16M(前半部分の16桁)を、予約済みプロトコル符号シーケンス(0040,0008)の符号値(0008,0100)に設定し、Acquisition ModalityからのDICOM-MWM検索に対応させるための接続作業を行った。
2) DR(Digital Radiography)システム側で、Order Filler-Acquisition Modality連携インターフェースを再構築することで、DICOM-MWMにおけるJJ1017-16M(前半部分の16桁)がセットされた、予約済みプロトコル符号シーケンス(0040,0008)の符号値(0008,0100)を読み込み、検査指示内容に応じた撮影画像処理条件を、プリセットされたテーブルから呼び出して利用可能な環境を構築した。

3.4.3 稼動試験

(1)稼動試験

電子カルテからオーダされた情報が、標準的画像検査マスタであるJJ1017コード(バージョン3.0)連携により、Order Fillerを介し、モダリティまで連携することで、モダリティ上の検査情報を呼び出す環境を提供した。

(2)検証方法

外部の有識者を交えて以下の動作について実験を行い、指導・助言により、本実証上の改善点がないか検討した。

  1. 仮想患者を用い、富士通社製Order Placer(電子カルテ)上から透視系の検査オーダを発行する。
  2. 横河電機社製Order Filler(RIS)にて、受付等必要な手続きを済ませ、検査開始待機とする。
  3. 東芝メディカルシステムズ社製DR装置(Acquisition Modality)から、DICOM-MWMによる検索を経て、患者・検査情報を取得する。
  4. この時、JJ1017コードの連携により、DR装置側で検査オーダに基づく撮影プリセット(条件)が、事前に用意されたテーブルから読み込まれ、患者情報と共に、登録・検査待機となることを確認する。
  5. DR装置側のプリセットが、JJ1017-16M(前半部分の16桁)がセットされた、予約済みプロトコル符号シーケンス(0040,0008)の符号値(0008,0100)による連携により選択されたことを確認するため、DR装置側の撮影プリセットにJJ1017-16Mが、取り込まれている様子を確認する。