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第IV編 相互運用性普及への課題
1.1 第一回実装検証委員会

第一回の実装検証委員会は、平成18年2月9日に埼玉医科大学において行われた。

事業の概要や実施内容について、実施計画書に基づき説明した後、リアル・ショウルームの見学やバーチャル・ショウルームの検討などを行い、最後に忌憚の無き意見を自由発言で賜った。
(なお、発言の順番と収載順は、異なる場合がある。収載順は、氏名のアイウエオ順である。また、各委員の発言時間に、委員以外が発言した場合は、発言者を明記して、区別しているので注意されたし。文中の敬称は略させて頂きました。)


(1)安藤  裕委員

 仕様書との絡みで、IHEのインテグレーションプロファイルにおいて、「テクニカル・フレームワークに記載されているどのトランザクションを利用して」や、「アクタの何を使って」という指示だけでは不安なので、要求仕様書を書く上で、この様な指示を与えれば良いというような内容(特にベンダに構想を伝える際に問題となった部分)を明確にし、その問題をどう解決したかや、ベンダに伝える際、どのように理解してもらったかなど、具体的な例をあげた方が良いであろう。
 そのように、問題が起きた部分を重点的にホームページなどに掲載し、検討している施設の参考となるようにしたらどうか?
 埼玉医大のシステムが稼働した時には、JJ1017コードがまだ日の目を見る前だったのではないか?
 JJ1017コードの一部は、見込みで作って実装したので、施設拡張的なコードを用いている部分がある。(埼玉医科大学)
 JJ1017は、マイルストーンがしっかりしていないと採用されないのではないか?(江本委員)


(2)石垣 武男委員

 実際にショウルームのような、システムを構築するにあたり、要求仕様書はどういったものにしたのか、雛形を公開すると良い。
 統合プロファイルの指定で要求仕様書に代えたので、本来の要求仕様書はない。(埼玉医科大学)
 細かくは指示していないのか?
 構築したいシステムの構想は打ち合わせたが、詳細な実装の指示は、なにもしていない。ただし、IHE-Jスコープ外のDICOM/HL7-Gatewayに関しては、どちらの会社が何処までやるかなど、調整にかなりの時間を要した(特に構想や理念の説明に時間とエネルギーを割いた)が、それ以外は、前回の事業同様、各社間の調整に一任した。(埼玉医科大学)
 ならば、そんなに簡単に出来るということを、是非公開すべきである。ここに至るまで大変な苦労があるのではないかと考えていたが、そうで無いのならすばらしいことである。ただし、要求仕様書に詳細を記載せずに(細かい指示をしていない中で)、出来上がったのは、なぜかという点を具体的に考察し提示してほしい。
 本内容は、可能な限りバーチャル・ショウルームに載せたらどうか? 本事業によるシステム構築は、それ自体が構築見本である。それが、この事業の最大の特徴である。
 施設の担当者が、どの程度各ベンダと調整したかについてこそ、皆知りたいと思う。どのくらい漠然とした情報を各ベンダに要求として伝えたか可能な限り提示して欲しい。(横井委員)
 ベンダ各社においても、標準化の推進については、意義を理解して快く協力してくれている。経産省事業と言うこともあり、かなり本気で取り組んでもらえた。各社ともIHE-Jのエキスパートを本事業担当として揃えてきたことで、こちらから具体的に説明しなくても理解して頂ける環境が成り立ったと考えている。この点が大きかったのではないか。(埼玉医科大学)
 埼玉医大では、臨床検査部門については、手をつけないのか?
 現状で、本事業を受けているのが、医療情報部ではなく放射線部門であるという制約から、技術的なこと以前に問題がある。(埼玉医科大学)


(3)江本  豊委員

 会計はどの様に実装していますか?
 富士通のローカル仕様です。埼玉医大が行きと帰りを別々の仕様で実装したことは、予算的には非常に無駄かもしれない。しかし、今後の標準化を考えると致し方ないと考えている。(埼玉医科大学)
 IHEから少し拡張した部分を明らかにしてIHE-Jとして中身を検証し、インターナショナルにフィードバックしてほしいと考えている。
 本事業の成果としても、IHEの日本版拡張に貢献できたという、結果をフィードバックすると良いと思う。


(4)小野木雄三委員

 去年までのIHEは、HL7やDICOMなどもともと放射線でうまく動いている仕組みの焼き直しという印象であった。
 今回の実装は、電子カルテの機能要件をしっかり考えているように見えてきた。
 臨床試験や研究など手間のかかる部分に利用出来そうな気がしている。
 電子カルテの基本技術として利用出来ると思われる。
 DICOM/HL7-Gatewayをなぜ使わなければならなかったか。他の可能性として何があったかなど、きちんとレポートして頂きたい。全体を通して、選ばなかった選択肢についても、問題とされる部分を明確にしたほうが良い。
 そもそも、制限事項を書いておけば、検討した施設が当てはまる場合に問題に気づけるなど有用である。


(5)森村 晋哉委員

 JJ1017コードの実装やPDI統合プロファイルに基づくシステム構築は、IHEそのもので、仕様(TF)に合った製品化ができている。
 DICOM委員会等でWADOを使ってやりたいと数ヶ月前に話をしていたのを聞いた。それ以降の短い時間でここまでできたのはすばらしい。DICOM/HL7-Gatewayを使用して実現できている事が、特にすばらしい。この辺りのノウハウをぜひIHE-Jの委員会に、フィードバックして頂きたい。
 RWF統合プロファイルはDICOM-SR(Structured Report:構造化レポート)ベースであるが、HL7ベースのレポートとどのように絡んでいくのか興味がある。臨床で動いているシステムは、RWFの枠組みでDICOM-SRとHL7をどのように使いわけているのか? HL7のバージョン3はXMLなので、レポートの作成等も可能であり、利用状況を知りたい。
 レポーティングシステムの入力はDICOM-SRで、電子カルテに連携する仕組みは、HTMLを用いたローカル通信である。(埼玉医科大学)
 レポーティングシステムは、DICOM-SRという事だが、HTMLに変換しているのは、レポーティング側か電子カルテ側か?
 レポーティングシステム側がDICOM-SR形式で出せたとしても、電子カルテの仕様(実装)上、電子カルテ側ベンダ(今回は富士通)が、DICOM-SRでは受けてくれない場合もある。電子カルテベンダは、DICOM規格に基づいた実装について、比較的消極的である。また、現状当施設では、Web版の電子カルテが稼働中なので、DICOM-SRよりHTMLで受ければ、電子カルテとの親和性が最も高く、期待できたことも理由の一つである。(埼玉医科大学)
 レポーティングシステム側で全てのレポートを保持し、電子カルテから見に来る実装と、レポートを作成後すぐに電子カルテ側に送信して保存するパターンがある。この実装手法を選択した理由は?
 技術的理由ではなく、埼玉医大側の事情が大きい。病院側が富士通のシステムのみを電子カルテと定義している。(埼玉医科大学)
 RISは電子カルテではないのか?(横井委員)
 RISは定義上、電子カルテではない。フィルムと紙の照射録が、原本との運用を行っている。(埼玉医科大学)
 システムとして放射線部門の中に、レポーティングシステムのデータベースが存在した方が、ワークフローの観点からは有効(必要)だと考えられる。(特に見たい時に検索して見られる機能等)(江本委員)


(6)横井 英人委員

 非常にきれいに繋がっているという印象を持った。
 PDI統合プロファイルを中心とした実装で、依頼側施設の情報と検査実施施設の情報を取り込んだ後の整合について、GP-PPSの利用を含めて工夫している。
 実運用に使用することを前提に実装を進めているところが評価出来る。
 今後このようなクローズドシステムの中でカバー出来ない部分、例えば、他の画像機器部門では、放射線部門のように定型的な運用の出来ない領域が多々あると思われるが、それら運用に対して、どの様な展開ができるのか、検討して頂きたい。
 特にPDI統合プロファイルの中の、画像を取り込み、患者基本情報を整合する部分が、良くできている。印象に残った。


(7)埼玉医科大学から

 成果をどのように委員会等で協調していくとよいか?(埼玉医科大学)
 IHE-Jの報告書提出により、報告されているので十分である。
 学会、シンポジウムとタイアップしてどのような成果が出たかを、発表したらどうか?
 IHE-Jのワークショップで埼玉医科大学特集を設けてもらったどうか?
 医療情報学会のワークショップ提案、シンポジウム提案を行ったらどうか。IHE-Jと連名でもかまわない。渉外委員会とのタイアップなども考えられる。(安藤委員)
 DICOM委員会は如何でしょうか?(埼玉医科大学)
 技術検討委員会の方が良いのではないか(森村委員)
 レポートを検討している委員会等と、連携しているので十分である。8月の4・5日(埼玉医大注:画像診断報告書研究会)で発表したらどうか。