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第IV編 相互運用性普及への課題
1.3 実装検証委員会の総括

(1) 第一回実装検証委員会

まず、技術的要件としては、実施計画書および委員会の冒頭の説明にある通りに、順調に作業が進んでいることに高い評価をいただいた。

IHE-Jでシステム構築すると、要求仕様書に詳細な事項を書き込まなくてもいいために相談の時間が省略できるとされていることに対し、現実的にはどの程度の要求仕様書レベルを合意する必要があるかについて、委員から意見が出された。この点については実際にIHE-Jでシステム構築を考えている施設にとっては非常に重要度の高い情報なので、詳細を明らかにしていくことが望まれると思われた。

その際、特に埼玉医科大学のような私立の医療機関と、入札等の手続きが煩雑かつ広範な国公立医療機関、大学等での要求仕様書レベルには現実的な差異が出てくると考えられ、その点については当センターでは掌握しきれないので、補足的な情報入手を将来的に検討したい。

また、現実の構築範囲の決定作業においては、どの部分をIHE-Jの仕組みを用いて行い、どの部分は用いないで行うかについて、どういうロジックで決定されていったのか、そのプロセスを明らかにしてほしいという要望があり、これについても可能な限り対応することとした。

複数の標準化規約および規格が並存する領域(DICOM-SRとIHE-JのRWF等)についてはその整合性の調整、作業範囲決定の仕方については知りたいとする意見が多かった。

以上に見てきたように、技術的要件としてはほぼ実施計画書に盛り込まれているものを逸脱しておらず、順調に作業が進んでいると評価を受けた一方、構築の実作業に関わる具体的な情報については出来るだけ広い範囲を公開できるように調整する必要が指摘された。

(2) 第二回実装検証委員会

技術的な諸点の評価については、WADO/XDS、RWF/DICOM-SR、PDI等の構成要素について実装上どうやって実現したかなどの具体的な論点について議論が活発に行われた。
 特にその中で、これらのプロファイル、規格等が遺漏ない形に成熟していく過程でIHE-Jによる構築を進める場合にどのような基本方針を採用していればよいのか、というスタンスについての理解が深められた。

また、今後の当センターにおける放射線部門システムのIHE-Jによる完遂化および他部門のシステムに及ぶIHE-Jの展開に関し、IHE-Jの枠組みの遵守と実際的な医療機関における情報システム構築のあり方(例えば、情報部門、各診療科、放射線部などの中央部門相互間の管轄範囲などを含む)について、標準化技術を採用するシステム構築における基本方針等の提言が求められ、了承した。この提言については、システム安定稼動を見極めたうえで、随時バーチャル・ショウルーム上でも情報発信していくことを確認した。

思えば、他の医療機関に導入された放射線部門システムについて、これだけ問題点を共有化し、白熱したご意見を賜れること自体が、IHE-Jの枠組みをおいて、あり得ないことであると思った。

以上、総合して大過なく事業計画に沿って、全体の実装および情報開示の仕組みの整備が行えていることを、委員会の全会一致を以って承認していただいたことに深謝する。