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第IV編 相互運用性普及への課題
4. 本事業の総合評価として相互運用性普及への課題を考える

総合評価として、本事業の遂行を通じて最も強く感じられたのは、標準化の意義深さとその価値ゆえの「道半ば感」である。すなわち、放射線部門のシステム構築をIHE-Jで可能な限り片付けるという明確なポリシーと持って進んだ結果として、その構築作業が非常に効率的に進み、かつ、成果として得られた相互接続するシステムの美しさを感得できたことが半分の真実である。いま一方の真実は、このIHE-Jによる標準化が、病院全体の情報化の基幹技術として根付くべきであり、そういった現実的な重要性を帯びる以上、まださらにIHE-Jの規約としての充実を図ることと、編まれた規約の実践を臨床稼動施設における実例として示すことの両輪が具備され続けるべきであるということである。本事業を含む相互運用性の一連の活動は、経済産業省の実証事業というある意味で保護されたものとしてこの数年で著しい進歩を遂げたが、それでもこのプロジェクトが自律的に機能し続けられるには到っていないことは、敢えてここに明記しておきたいと思う。

このことは、相互運用性の一連の事業が奏功していないという意味ではまったくなく、しっかりと結実しつつあればこそ今後数年の成長促進が実を豊かにするという捉え方をすべきものであろう。

IHE-Jを中心とする相互運用性がリスクの多い黎明期を経て、今後の充実期にどこまで確かな広がりを持てるかが、これに携わる全ての人の願いであると信ずる。