【背 景】
本プロジェクトは、平成16年度実証事業において以下の成果を挙げている。
- 国内で初めてIHE-Jの手法を用いて、マルチベンダ間にて一定の相互運用性が 確保された、放射線部門システムを実際に稼動させ、IHE-Jガイドラインの有用性を示すことができた。
- 「IHE-Jガイドラインの採用により相互運用性が実現された実稼動しているシステム」を実際に見学可能な設備や受け入れ態勢を整備することで、IHE-Jガイドラインのショウルーム的役割を担うべく、医療機関を中心とした見学者を受け入れた。
- 相互運用性に興味を抱いた施設に対し、IHE-Jガイドラインの採用を促すことで、健全な情報システム市場の育成と、IHE-Jの普及に役立つことに寄与した。
しかしこれらは、「IHE-Jの有用性検証に必要な最低限の実装が完了したにすぎない」との見方もあり、今後に向け、現在放射線部門に存在する非IHE-J部分について相互運用性確保を推進し、システム全体が相互運用性の成果を一括利用できることを可能とすると同時に、放射線部門で培ったノウハウを、放射線部門以外への横展開としても利用できるよう、共通して実装可能な技術について検討を進める必要があると考え、本年度の更なる実証を進めることとした。
【目 的】
本事業の次のステップとしては、「IHE-Jを用いて相互運用性の実現を希望する医療機関を増やす」ことであり、多くの医療機関が容易に・安価で・良質な、IHE-J採用システムの導入に踏み切れる環境を整える事ことであると考えている。よって、本事業では、以下の点を主眼とし検討や実装を行うことで、IHE-Jを用いた相互運用性の普及促進に寄与することを目的とする。
- さらなる医療情報システムの相互運用性確保を目指し、IHE-J未対応部分を補完することにより、相互運用性が向上し、医療機関における部分採用における障壁を減らすことを目指す。
- 臨床的優先度の高い部分を重点的実装課題とし、標準化団体やIHE-J委員会等と連携して日本のワークフローに適合した統合プロファイルについて、 IHE-Jガイドラインによるシステム構築を行う。
- 放射線部門で培った技術等が、他部門やIT基盤そのものにおいても相互運用可能となるよう、横展開及び社会的枠組みに留意した技術検討を実施し、IHE-Jの普及に資する。
- これまでの実証事業で実現した相互運用可能なシステムを、医療機関からの求めに応じて公開することで、導入を検討する医療機関への情報提供を行う。
- 遠方の医療機関においても、本事業の成果や相互運用性の利点を十分確認可能なように、インターネット上に情報発信のためのWebサイトを開設し、実証事業の成果(ノウハウ)を中心としたIHE-Jの普及・啓蒙に努める。
- 実際にシステムを構築するまで解析不可能な問題点の把握に努め、新技術の実証フィールドを提供し、IHE-Jの委員会が策定中の統合プロファイルについて臨床稼動に至るまでの情報を提供する。