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IHEとは:PCD (Patient Care Device) 領域

PCD(Patient Care Device)領域の概要

PCD(Patient Care Device)領域でのIHE活動は、北米では2005年より開始され、2006年からテクニカルフレームワークの検討が始まっています。 日本に於いては、2009年からPCDドメイン設立の準備を始め、2010年より活動を開始しました。PCDドメインで扱う領域は広く、装置間接続性の向上、データ形式の標準化、患者のアラーム管理・伝達、機器の管理、治療やケアに関する輸液等の指示の正確さ、埋め込み機器の管理等にまで及びます図23

【 図23:】

これらをサイト別に見ると手術室のシステム、救急のシステム、ICU/CCU におけるシステム、病棟システム等が該当します。さらに他のドメインとも合わせて病院内全てがカバーできることとなります。これらを通して患者の安全管理を充実させることも考慮します。さらに、PCD は救急車やクリニック(診療所)レベルから家庭と言う範囲までカバーするPHD(Personal Health Device)と言う概念とも整合を取れるよう考えています図24

EHR/PHRとしての連携
【 図24:EHR/PHRとしての連携】

PCDドメインでは各装置どうしの相互接続に関するDEC(Device Enterprise Communication)というプロファイルが基本となります。さらにアラーム管理として ACM(Alarm Communication Management)、 輸液ポンプ管理に関する PIV(Point of care Infusion Verification)等が主たる統合プロファイルとなります。その他、装置間で扱うパラメータや単位・ 有効桁等を調整する RTM(Rosetta Terminology Mapping)、波形データの管理のためのWCM(Waveform Communication Management)、埋め込み機器の管理 IDCO(Implantable Device Cardiac Observation )や装置の管理 MEM(Medical Equipment Management)等があります。

各装置からのデータ収集
(DEC:Device Enterprise Communication)

統合プロファイル DEC(Device Enterprise Communication)は、各装置からのデータ収集をするプロファイルです図25。このプロファイルは、PCDドメインの他のプロファイルの基本となるプロファイルで、アラームマネジメント(ACM)や、輸液管理(PIV)のプロファイルも、装置からのデータの収集はこのDECプロファイルを使用します。

DECプロファイルは、装置からデータを出力するDOR(Device Observation Reporter)というアクタとデータを受信するDOC(Device Observation Consumer)というアクタが基本となります。DOR からDOCへのデータ出力頻度はDOF(Device Observation Filter)で指定することになっていますが、DOF に関してはDOR か DOCに含める方向で検討中です。この他にどの患者さんを登録管理するかというSPD(Subscribe to Patient Data)というアクタや装置で計測されたデータと患者 IDとの紐付けとしてPIB(Patient Identity Binding to Device Data)というアクタがあります。

各アクタとデータ取り込みの流れ(計測値・アラーム情報など)
【 図25:各アクタとデータ取り込みの流れ(計測値・アラーム情報など)】

アラームマネジメント
(ACM:Alarm Communication Management)

統合プロファイル ACM(Alarm Communication Management)は、患者及び装置に関するアラーム管理のプロファイルです図26

アラームデータの送受信はDECプロファイルでのトランザクションを利用し、アラームの出力はAR(Alarm Reporter)と言うアクタとなり、そのデータをAM(Alarm Manager)で管理し、AC(Alarm Communicator)でメディカルスタッフに伝達します。そして履歴管理等はAA(Alarm Archiver)で行います。

ACMプロファイルで特徴的なのは、アラームの管理と言っても患者アラームだけを管理するのではなく、患者に使用される装置のアラームも管理します。

各アクタとデータの流れ(ACM:Alarm Communication Management)
【 図26:各アクタとデータの流れ(ACM:Alarm Communication Management)】

輸液ポンプの管理(PIV:Point of care Infusion Verification)

統合プロファイル PIV(Point of care Infusion Verification)も、輸液ポンプからの流量等のデータ収集はDECプロファイルでのトランザクションを利用します図27。これらのデータをもとに患者への投薬指示や輸液指示が行われますが、正しい患者に正しい投与量を正しいルートで投与することを第一義的に考えます。投薬や輸液指示を人的なミスを防ぐことを目的として、IOP(Infusion Order Programmer)から、IOC(Infusion Order Consumer)へ設定を伝達するトランザクションとなります。輸液ポンプ等への実際の投与設定と開始は、その設定値を確認したメディカルスタッフが行います。
各アクタとデータの流れ(PIV:Point of care Infusion Verification)
【 図27:各アクタとデータの流れ(PIV:Point of care Infusion Verification)】
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