リアル・ショウルームとは、本事業によって相互運用性が実現したマルチベンダによる放射線部門システム等を埼玉医科大学総合医療センター中央放射線部に構築された実際のサーバ室において、見学できるようにしたものを指す。
2.1.1 リアル・ショウルームの構成要素
リアル・ショウルームにおいては、1)マルチベンダのシステムが実に稼動していることを見ることを可能とした体裁のサーバ室における見学環境、および2)見学者に対する説明小冊子の配布と職員によるシステムの説明を可能とする。(説明小冊子の内容は、本事業で達成されるIHE-Jによる相互運用性の解説、実証事業の作業過程で得られた技術情報を文章および図式で表現するものとし、前年度情報に付加して追加・再校正したものとする。)
2.1.2 リアル・ショウルーム機能維持の実際
リアル・ショウルームの維持は、IHE-Jによる相互運用性の実現がなされた場合に見学に供することができるように、バーチャル・ショウルームのリニューアル作業と並行して行われた。
2.1.3 リアル・ショウルーム見学利用の実態
平成17年度における、リアル・ショウルームの見学実績は、7医療機関・団体で、22名に達している。見学者の内訳を図2.2に示す。
結果的に大学病院より、一般の医療機関からの見学希望が多い傾向にあり、今後予定されている医療機関も報告執筆時点で、大学病院ではない。
また、医療機関からの見学のうち、ほとんどの見学者が、医療情報の専任担当者ではなく、通常は全く別の業務に従事している、診療放射線技師や事務職員であった。
この傾向から推察されることは、大学病院など規模が大きく、医療情報部などの組織が十分機能している医療機関よりは、比較的規模の大きい一般の医療機関で、兼任の医療情報担当者が、専門外のシステム構築に直面する中で、苦悩する姿が浮き彫りとなる。結果的に、これら担当者が、システムを公開している当センターに見学を申し込むというケースが多いと考えられる。
さらに、見学者の見学目的に関する内訳(見学申し込みの書に記載された見学目的について、埼玉医科大学が独自に集計した結果。)を考察すると、前述のように参加者の職種として、診療放射線技師が多いためと類推されるが、放射線部門における画像の取り扱い(画像サーバ等の設置や運用:PACS)
の見学を目的としているケースが多く見受けられる。
しかし、同率でIHE-Jの稼動システムという回答も得られており、IHE-Jガイドラインにより、何が実現可能でどの様な有用性があるについての期待と興味が伺える。