実証事業の範囲としては、放射線部門の補完拡充を目的としているため、主に放射線部門に関する検討を行ったが、電子カルテへの画像配信・報告書配信に関しては、事実上他部門の情報連携においても十分利用可能な技術であり、報告書の作成に関するワークフローについても、放射線領域に特化したものとはいえず、広く相互運用性に向けた基本技術として利用可能なものばかりであった。
今回の事業としては、放射線部門の枠組みを超えない範囲で、将来的な他部門への横展開が可能な技術実装を中心に検討が行われた。
以下に、具体的に本事業において構築するインターフェース部分について、事業前(過去の事業で実装したシステム)との関係を図示する。
(1)本事業開始前のシステム連携状況について
事業前のシステムは、最低限のオーダ情報がIHE-Jのトランザクションに則り、連携可能な状態であった。
(2)本事業により実装されたシステム連携
本事業では、放射線部門の実運用に不足しているインターフェースやワークフローを可能な限りIHE-Jガイドラインに基づく標準的仕様に置き換え、相互運用性を確保した他、標準的仕様の策定にも資するよう積極的に仕様の提案や情報の提供を行った。
なお、最も重要と考えられる、部門システム(Order Filler)から、電子カルテ(Order Placer)への実績を含む、情報の返信であるが、国内における標準規約の制定を待つべきとのスタンスから、今回の実装においては、スコープ外とした。
結果的に、周辺部分に検討項目が集中したが、少なくとも当施設における改善要求度の高い項目ばかりであり、小規模なIHE-Jガイドラインの導入にも資する内容と考えられた。