IHE-Jが直接的に経済性に影響を及ぼすためには、やはり普及という視点からの施策が重要である。当然、打ち合わせや手戻りの解消に役立つことは明白で、本事業においても電子メールや数回の打ち合わせが、仕様検討の全てであることから、導入までの費用削減に大きな効果が期待できる。
しかし、ベンダがIHE-J自体を特殊なオプションとして扱う限り、これら状況は改善しないばかりか、利益率の高いブランドとしてイメージが確立してしまう恐れがある。これだけは、避けなくてはならない。
この状況の打破には、1)IHE-Jを標準としたシステム開発を後押しする、2)医療機関で個々に行ってきた仕様検討の代わりとなる、3)臨床企画委員会の検討を充実し期間を短縮する、4)検討結果の情報を提供可能なインフラ整備とノウハウを持った人材の育成に努め、導入基盤を整備する、そして、5)受注ベンダが対応を断らない様、関連団体との枠組みを整えるなどが必要と思われる。少なくとも、本事業における今回のIHE-J導入(拡張)が、従来の手法より高額となる理由は、なにも見つからなかった。